「のび太の新恐竜」を観てきました!
キーワードはコレ!
「”新”恐竜」
「飛べない」
「地球の歴史」
「悪役」
さて、今年もついに公開されました映画ドラえもん。いっぱい待ちました。
でもコナンと比べればマシですね。コナンは1年待ちですから笑
新型コロナウイルスの影響で異例の夏公開となりましたが、コロナ禍で興行収入も厳しい滑り出しとなっています。
それでも、面白い作品に仕上がっていました。正直、藤子・F・不二雄先生が原作の作品を含めてもかなり良作の部類に入ると感じます。
Wikipediaでは早くもオチまであらすじが記されていますが(…ネタバレ注意のテンプレは廃止されましたね。Wikipediaご覧になる方はご注意ください)、私はあまりネタバレしないように今回も個人的な感想を書いていきたいと思います。
でも、実際に見ていただかないといまいち伝わらないかもしれませんね。
とりあえず、基本的には良いことしか書きません!
気になったことも書きますが、あんまり過度な難癖はつけません!
批判的な感想などは、ネット上にいくらでもありますので、わさドラアンチや物語ロジックガチ勢の方など、ご希望の皆様はぜひそちらをご覧くださいませませ m(_ _)m
ざっくりと良かったところの感想!
「新恐竜」
ドラえもん劇場版シリーズにおいて、まさにその名に恥じない、"新"たな "恐竜" の物語になっていました。
現代技術の3DCGで忠実に描写された恐竜たちは、迫力抜群。大衆向けアニメ作品とは思えないクオリティです。これがどれほど再現度が高いのかは、恐竜博士のキッズに訊くことにしましょうか笑
映画ドラえもんでおなじみのフラグ(なんとなく展開が想像できる描写とか)、「のび太の恐竜」をオマージュしたような描写展開も多く見られ、根っからのファンには嬉しい展開!やったね。
とはいえ、まさかフラグが立てられたとは気づかないような展開も数多くありました。あとから「やられた!」と言わんばかりの見事なフラグ回収が何度も。
ひみつ道具に関しては、タケコプターは毎度のごとく大活躍。でもやっぱり、持参数が少なかったようで…劇場版で顕著になる、ドラえもんのポンコツ度も今回はちょっと高めでした。
また、作画に関してはかなり安定。特に背景描写を中心にアニメらしいリアルさ、緻密さが現れており美しいと感じさせる描写が多くありました。
プラス、全体的にアングルとかカメラワークが良いです。映画ならではといった感じでしっかり迫力があります。(おそらく、絵コンテの時点でかなりよく出来てるんでしょう。)
飽きない展開
全体的な時間配分のバランスがかなり良いです。
初めののび太とキューとミューとの出会いと成長のシーンに関しては、展開が若干早かったり、都合の良い展開を若干感じましたが、後半の展開が密度が高いので、全体的に俯瞰して見てみるとバランス良く仕上がっている印象があります。
まさに、飽きない展開で、起承転結がはっきりとした構成になっています。
この飽きない構成は、「のび太の宝島」同様に脚本の川村元気さんの底力とも言えるでしょう。
これぞ、新恐竜。
ドラえもんと恐竜 (ピー助は首長竜で厳密には恐竜とはちg(以下略)) を扱った物語はいくつもありますね。
これらのどれとも重ならない上、原作エピソードやモチーフとした作品はまったくありません*1。「恐竜の物語」を制作側に提案したのは藤子プロだそうですが、バッチリ完全なオリジナル作品です。全くもって2番煎じなんかじゃありません。
「新恐竜」という強気のタイトルですが、その名に恥じないような高品質な作品です。
約40年前の「のび太の恐竜」からはじまり、たびたび描かれてきた恐竜の物語ですが、映像技術の進歩や恐竜研究の進歩から、本作では3DCGでかなり良く描かれています。まさに時空を超えた大冒険、といわんばかりの迫力ある物語です。
あと、恐竜はめっちゃすごい数出てきます。
まだ見ていない方は、
「新しい"恐竜"とは、すなわち何か。」
それを考えるとこの物語の結末に辿り着けるかもしれません。
(結末にたどり着いたら困っちゃう方は考えないでくださいね(・∀・))
悪者がいないからこそ
ドラえもんの物語、というかクレヨンしんちゃんなどを含む劇場版アニメ作品ではかなり珍しく悪者が登場しません。…若干ネタバレですね。
なので悪者vsドラえもん達という構図で戦ったりしません。
言うなれば、歴史と戦う物語。
避けることの出来ない歴史と戦う。そんな物語です。
これが、安直な展開やブレブレのシナリオとなることを回避し、焦点をしっかり合わせた上で物語が進んでいきます。
とにかく、登場人物が多かったり、物語の背景(絵的な意味ではなく内容)が複雑だと掘り下げる前に物語が終わってしまうんですよね。
登場人物が少ない分、子どもたちには理解しやすくなりますし、しっかり時間をかけて、のび太とキューとミューの交流を描けています。物語の展開もあまり無理がないように仕上がっています。
ゲスト声優のお二人もお見事
木村拓哉さんと渡辺直美さんの声優は、ほぼ違和感なかったです。
よく本業じゃない人がアニメ作品などの声をやると薄っぺらい声になったりしますがそんなこともなく、レベル高いです。
もともとの声の質が良いのもありそうですが、Twitter上でキムタクなの気づかなかったと言うツイートもありますし、これは、流石といったところではないでしょうか。
ひみつ道具
ドラえもんの劇場版と言えば、どんなひみつ道具が登場するのか?という点も重要です。
出てきたひみつ道具のうち、半分ぐらいは既出のひみつ道具でした。
(Wikipediaの完全版こと、"宇宙完全大百科"は内容が完全でなかった模様。)
(タイムマシンも 、いい加減シートベルトとか導入したほうが安全では。)
初登場のひみつ道具も半分ぐらいありましたが、どれもかなり効果的に用いられていました。
全体的に過去の映画作品で起きたようなひみつ道具に起因する問題(5人の誰かが迷子になったり、壊されてしまったり、取れてしまったり)が回避できるような、機能の優れた道具が多かった印象です。
新出ひみつ道具イロイロ
キャンピングバルーン
宿泊時は「キャンピングカプセル」などの既出の宿泊用ひみつ道具は登場せず、「キャンピングバルーン」が初登場。
泊まるためのもろもろの機能はついてますが、空中に上昇することで猛獣などの襲撃を回避することができる道具。これまでも、代替可能なひみつ道具は色々出てきましたが、襲撃を回避すると言う意味では、大冒険にはとても適切な道具ですね。
ともチョコ
「ともチョコ」も良い道具でした。板チョコレートの半かけを自分が食べて、もう半かけを友だちになりたい生き物に食べさせるとお友達になれるという道具。しかも1時間以内なら、相手の特徴をトレースする機能付き。見た目にも楽しい。
本質的な効能は「桃太郎印のきびだんご」とほぼ同じですが、袋が破れてたため、1個しか使えず…「ともチョコ」が登場。
バレンタインのいわゆる「友チョコ」から発想を得たと思われる、現代風で良い道具でした。
(「桃太郎印のきびだんご」を使っちゃうと、やっぱり「のび太の恐竜」と重なって見えちゃいまいますし。良いですね。)
ほかにも、面白いひみつ道具が色々出てきますよ…!
大人が見ても面白い。
この作品は、付き添いで来たようなお父さん・お母さんも、きっと思ったより面白かったと感じることが出来るはずです。
やっぱり、子供向け映画を広く開かれた作品にするには大きな壁ですが、脚本の川村元気さんもこう語っています。
最初に藤子プロさんからお声かけいただいた時に、ディズニーやピクサー作品のように、親子で楽しめる作品にしたいと言われたんです。
ディズニーやピクサー作品は、子供は笑い、親は感動し、どちらも映画館で楽しむことができる。
親が子どもの付き合いで観にいく映画にはしたくなかったんです。
『君の名は。』『世界から猫が消えたなら』などを生み出した川村元気の物語の作り方<『映画ドラえもん のび太の新恐竜』特別インタビュー> https://post.tv-asahi.co.jp/post-126007/
この考え方は非常に重要だと思います。
ちょっと難しくても、子どもなりに楽しむはずです。
子供だましではなく、しっかり大人も楽しめる作品に仕上がっていました。
気になったこと。
ここまで大絶賛だとそれはそれで気持ち悪いので、気になったポイントも書いておきますね。
定義は、厳格に。
過去の時代では、ドラえもんが作中で恐竜の解説役を務めてましたが、解説がかなり詳しかった感じがしました。
加えて、何度か「これは、〇〇(恐竜名)の仲間!」という感じの台詞があり(つまり厳密には「恐竜名」そのものではなく、近しい恐竜ということ)、かなり定義に厳格なセリフという印象がありました。
これは、しっかり監修していただいている証とも言えますね。観てて言葉通り気になっただけなので、全く悪い箇所ではないです。
え?「君の名は。」?
新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」の後2010年代後半以降、アニメーション映画の評価や製作技法などに大きな変化がありました。
例えば、主題歌を複数曲にするなど…
加えて作品評価のひとつとして「君の名は。」と比べられることも多くなりました。
本作では物語のクライマックスで、「っぽい」箇所が。
時間に追われながら、5人が行動を起こすところとか、もろもろ「っぽい」箇所がありましたね。詳しいことは書きませんがね…はい。
ぼくときみ。
「ぼくときみの関係や行動が、世界を大きく揺るがすことに発展する。」
まさに「君の名は。」もこんな感じの作品ですね。
ドラえもんは昔から、これと近い世界観で多くの映画(大長編)作品が制作されてきました。のび太たちの大冒険が世界を救ったり、大きく変化させたり。*2
とはいえ、今回は非常にその色が濃い作品です。チェックカードが登場したあたりとか特に。
ただ、展開としては正しい良い展開だと思いますし、フラグの立て方同様に、クライマックスへの持っていき方は非常に秀逸だと思います。
大事な箇所がちょっと雑。
物語を全体的に見ると大事な箇所の一つとして、物語のはじめにのび太がたまごの化石を見つける箇所があります。
ただ、それが…
まあちょっと…(雑なんです(小声))
【化石発掘コーナーの近くで、のび太がつまづいたのがたまごの化石だったという… (ー_ー;) 】
「恐竜」や「緑の巨人伝」といった作品での、のび太の出会いと比べるといささか雑というか。
もうちょっと、のび太に努力してほしかったような…ね。
とはいえ発想を変えれば、その何気ない化石との出会いが、この物語で言うところの「歴史」の中に組み込まれているのだと考えることも出来るかもしれませんね
まとめ-ドラえもんの映画は、
ドラえもんの映画はあくまでエンタメ作品です。
ドラえもんの映画作品はどれをとっても「緻密なストーリー」ではないかもしれない。
でも、ちょっとしたことから、のび太たちが日常を超えた大冒険に出かけ、ひみつ道具や知恵、特技をつかって乗り越えていく。それが魅力で、とても面白い物語です。
(…もちろん40作品の中には、正直なんともいえないような作品も多少ありますが。)
ここ数年のドラえもん作品はプロモーションも、内容も、演出も。大人から子どもまで沢山の人にドラえもんを楽しんでもらおう。そんな思いが見えます。
単なる子供向け作品を超えた、全世代に愛される作品にしたい。
そういった藤子プロの意向もあるのでしょう。
ここ数年毎年毎年、面白い。おもしろい。って言っている気がしますね。
それでも全40作品の中で藤子・F・不二雄先生が原作を書いていない「アニメオリジナル」の作品として、非常によく出来ています。
「のび太の南極カチコチ大冒険」「のび太の宝島」「のび太の月面探査記」「のび太の新恐竜」と4作とも、様々な角度から藤子・F・不二雄先生らしさの現れるストーリーです。特に、自然の美しさや神秘さが良く描かれている印象です。
音楽的な演出もこれまでは映画も、TVシリーズと共通で沢田完が音楽を担当してきました。しかし、「のび太の宝島」以降3作品は、半沢直樹シリーズをはじめとする数々のテレビドラマや映画作品で、音楽を作曲する服部隆之が担当。TVシリーズとはまた違った特別感を演出しています。
脚本やストーリー性にあわせて、音楽や作画も壮大で"映画らしく"するための工夫が多く盛り込まれ、総じて「しっかり、ちゃんと、面白い」作品に仕上がっています。
来年は?
来年は、あの作品のリメイクですかね。Twitter探せばでてきますので気になる方は。
もしそうだったら、ワクワクドキドキでちゃんと面白い作品です(主題歌も名曲)。楽しみですね。
果たしていつ公開されることになるのか。今年は時期(春公開とか)までは映画ラストのおまけ映像で明らかにされませんでしたが、楽しみにしておきたいと思います。
…このまま、これからは夏映画の目玉映画になるんですかね?
果たしてどうなんでしょうか。
(ドラえもんの映画は夏の物語も多いですから適切かもしれませんね。)
ということで、いかがだったでしょうか?楽しんでいただけましたかね。
皆さんにも本当におすすめできる作品でした。是非ご覧になってください!
本日は、レビューをご覧いただきありがとうございました!
あとがき
この作品を見て、率直に恐竜って、かっこいいなと思わされました。
なんとも、いわきのほるる(いわき市石炭・化石館)に行きたくなる作品です。
(そういえば、ピー助はフタバスズキリュウですよね。名前の由来は福島県いわき市(地層が「双葉」と言う)で鈴木さんが見つけたからだったりします。意外と近くでございました。)
映画館は感染対策バッチリでした。映画館自体もともと換気設備がめちゃくちゃすごいらしいので安心ですね。
みんな観ているときは話さないので、ある意味安心な空間だと思います。